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【プレスリリース】自然に“意思”を感じる人は自然とのつながりを重視? 日本人の価値観を分析

本研究のポイント

●自然にどのような価値を見出すのかという価値認識と、日本人が持つ世界観を調査した
●人と自然の関係を重視する人ほど、人間以外の存在に主体性を見出すアニミズム的思考や擬人化傾向が高い
●自然そのものの価値を重視する人ほど、人間中心的な価値観を否定する傾向にある

研究概要

 北海道武蔵女子大学 舘石和香葉 助教、北陸先端科学技術大学院大学 中分遥 准教授、國學院大學 藤井修平 助教、同志社大学文化情報学部 柴﨑祥太 助教、uedbet体育_uedbet体育投注-彩客网彩票推荐大学院環境情報研究院 中?亮介 講師の研究グループは、人々が自然の三つの価値(道具的価値?内在的価値?関係価値)をどのように捉えているのか、そしてそれらがアニミズム的思考?擬人化傾向?人間中心主義的な思考など伝統的な世界観とどのように関連しているのかを明らかにしました。近年、自然保全や環境政策においては、人と自然の関係性や自然そのものへの価値認識を踏まえたアプローチが重要視されています。本研究の知見は、そうした取り組みに対する基礎的な知見を提供するものです。本研究の成果は、Elsevier社が刊行するCurrent Research in Ecological and Social Psychology(2025年12月19日)に掲載されました。

社会的な背景

 近年、気候変動や生物多様性の喪失といった環境問題への関心が高まるなか、経済的な施策だけでなく、人と自然の関係性や自然に対する価値認識を踏まえたアプローチが重要視されてきています。自然の価値としては、自然が人間にもたらす利益を重視する「道具的価値」[用語1]や、自然そのものの価値を認める「内在的価値」[用語2]に加え、近年では、人と自然との関係性を重視する「関係価値」[用語3]という考え方が提案されています。しかし、こうした価値認識が、人間以外の存在に主体性を見出すアニミズム的思考[用語4]や擬人化傾向[用語5]といった日本などでもたれてきた伝統的な世界観とどのように関連するかは十分な実証的な研究は行われてきませんでした。これらの関連を明らかにすることは、人と自然の関係を文化的?心理的な側面から理解するうえで重要です。

研究成果

 本研究では、745名の日本人を対象としたオンライン調査を実施し、自然の三つの価値(道具的価値?内在的価値?関係価値)に対する認識と、アニミズム的思考、擬人化傾向、人間中心主義[用語6]といった伝統的な世界観、ならびに自然とのつながりを測定する心理尺度との関連を検討しました。自然に対する価値認識についての因子分析[用語7]の結果、これまで西洋圏で見られていた自然の三つの価値を識別するというパターンが日本においても同様に確認できました。さらに相関分析[用語8]の結果、人間以外の存在に主体性を見出す傾向(アニミズム的思考や擬人化傾向)が強い人ほど、人と自然の関係にかかわる関係価値を重視する傾向が示されました。加えて、関係価値を重んじる人ほどと自然とのつながりを強く感じる傾向が見られました。予測に反して、自然が人間にもたらす利益を重視する道具的価値は人間中心主義的な思考とは関連を示しませんでしたが、一方で、自然そのものの価値を認める内在的価値を重視する人ほど、人間中心主義的な思考を否定する傾向にあることは示されました。

今後の展開

 本研究は、自然に対する価値認識が、日本人が持つ世界観や人と自然のつながりに関する心理尺度とどのように関連しているのかを明らかにし、自然の価値を「道具的価値?内在的価値?関係価値」という三つの側面から捉える考え方が測定の面でも妥当であることを示す知見を提供するものです。今後は、他文化圏との比較研究を通じて、これらの関連が日本固有の特徴なのか、それとも文化を超えて共通する傾向なのかを検討する必要があります。本研究の知見は、自然保全政策等において、人々の心理的?文化的側面を考慮した取り組みを設計するうえでの基礎的な知見となることが期待されます。

謝辞

 本研究は人間文化研究機構総合地球環境学研究所のプロジェクト(No. RIHN14210183)と公益財団法人旭硝子財団の支援を受けて実施されました。

用語解説

[用語1]
道具的価値:自然が人間にとってどの程度役に立つか、すなわち資源として利用できるかといった有用性に基づいて、自然の価値を捉える考え方

[用語2]
内在的価値:自然は人間にとって役に立つかどうかにかかわらず、それ自体に価値があるとする考え方

[用語3]
関係価値:自然と人がどのような関係を築いているか、その関係のあり方の適切さに基づいて自然の価値を捉える考え方

[用語4]
アニミズム:人間以外の動物や植物、自然物などにも、心や魂、主体性が宿っていると捉える世界観

[用語5]
擬人化傾向:人間以外の存在に対して、人間のような意図、感情などを当てはめる傾向

[用語6]
人間中心主義:人間を世界の中心に位置づけ、人間以外の存在を人間の幸福や利益のためにあると捉える価値観

[用語7]
因子分析:複数の質問項目への回答から、背後にある共通の構造(因子)を統計的に抽出する分析手法。本研究では、自然の価値に関する項目がいくつの因子から構成されているかを検討するために用いた。

[用語8]
相関分析:2つの変数の間にどの程度の関連があるかを統計的に調べる分析手法。本研究では、自然の価値認識とその他の世界観の尺度?心理尺度との関連を検討するために用いた。

論文情報

掲載誌 Current Research in Ecological and Social Psychology
タイトル Nature’s value associated with traditional worldviews: psychological validation of relational, intrinsic, and instrumental dimensions in Japan
著者 Wakaba Tateishi, Yo Nakawake, Shuhei Fujii, Shota Shibasaki, and Ryosuke Nakadai
DOI 10.1016/j.cresp.2025.100259新しいウィンドウが開きます

資料

研究者プロフィール

中臺 亮介新しいウィンドウが開きます
大学院環境情報研究院 講師

お問い合わせ先

<研究に関すること>
大学院環境情報研究院 講師 中臺 亮介
メールアドレス: nakadai-ryosuke-pt ynu.ac.jp

<報道に関すること>
総務企画部 リレーション推進課
メールアドレス: press ynu.ac.jp

(担当:リレーション推進課)


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